2010年4月30日金曜日

大学の数学(1年生)

大学に入ると、大抵の理系学部は「微分積分学(解析学)」と「線形代数」を学びます。微分積分学は高校の時の数学Ⅲでやった微分積分をもっと厳密に定義して議論したり、もっと複雑な計算をやっていきます。線形代数は、高校の数学Bでやったベクトルや数学Cでやった行列などとつながりがあります。

高校までの数学と大学での数学は違うという話を聞きます。そこで、数学の分厚い有名な専門書などに取り組もうなんて思っていると、挫折する恐れ大です。

大学での数学の学びも高校まで勉強していた方法と同じように、演習問題を解くことは必要です。数学の講義を聞いていたり、定理や命題などを理解するだけでは不十分、というかよくわからないと思います。ので、しっかりと問題をこなすことは重要です。よく数学は暗記科目ではないという話を聞きますが、暗記が全く不要な学問ではないです。大学の数学の定理の証明の中にも、大学受験数学的なテクニックが使われていたりと、型みたいなのを覚えておくのは大事だと思います。

専攻などによって多少事情が異なるかもしれませんが、市販されている微分積分学や線形代数の演習書などを1~2冊やれば、大学院入試に合格できる力はつくと思います。

参考までに、よかったと思う専門書は以下です。1から読むという類の本ではないですが、かなり詳しく載っています。演習書に関してはたくさん出版されていますので、使いやすそうなものでいいのではないでしょうか。






以上です。

2010年4月28日水曜日

業界・職種と大学の専攻について(特にファイナンス関係)

今回は、大学の専攻と業界(職種)について述べようと思います。

金融機関の就職説明会なんかにいくと、学生がよく「ファイナンスや経済学を専攻していないのですが、大丈夫でしょうか?」という質問をしています。ほとんどの企業の採用者側は「ほとんど関係ない」とおっしゃっていて、うわべだけではないみたいです。実施に内定者の出身を聞いてみると、ファイナンスとは全く関係ない専攻の人たちもちらほらいました。

クオンツ(金融工学コース)について同様のことがいえます。正直、大学院レベルの金融工学の知識が全くなくても(わかっていなくても)、採用されることもあります。たぶん、そういった他分野の人たちはすごい専門性をもっていたり、何か光るものをもっていたので、採用されたのでしょう。

ところで、金融工学やファイナンスなどを専攻しているからといって、必ず金融機関でクオンツをやれるとは限らないようです。最近見つけたサイトなのですが、参考になるかと思います。

とある「元」ヘッジファンド運用者のつぶやき(新卒の面接の作法:「金融専攻です」と言うのは不利。)

就職活動をしていて感じたのは、金融機関で働いているクオンツといっても、様々なレベルのクオンツがいます。数学でバリバリ理論系のクオンツもいれば、理屈はわかんないけど計算だけできるクオンツもいますし、IT関係の仕事が得意なクオンツもいます。

何を勉強しておけばいいというわけではないですが、よく紹介されているのが、



です。ゼミなんかで大学3年生くらいから読めるみたいです。解答集も別売りしています。




他には、





があります。これも基本的に大学4年生~大学院1年生くらいまでのレベルだと思います。ただ、翻訳した方に直接話をうかがったのですが、やはりここまでくると翻訳本ではなくてそのまま洋書で読んだ方がいいそうです。1は大学2~3年生でも読めると思います。

他にもダフィーやシングルトンなどちょっとレベルの高いファイナンスの本がありますが、本当にガチで金融工学を専攻したいのでなければ、読むことはおススメしません。一般の読者には挫折する恐れ大です。数学の関数解析やら積分論やらが必要となって、さらにミクロの上級レベルの知識や計量経済学などの知識も必要で、学部でこれらの本をちゃんと読みこなせる人は見たことがありません。(もちろん、自分も読めませんでした。)





以上です。

2010年4月27日火曜日

就職活動全般(国家1種、官僚)

せっかく就職活動をしてきたので、数学にはほとんど関係ないですが、国1についても触れたいと思います。国1はいわるゆ官僚といわれる職業で、国の政策を考える仕事です。詳しいことは、省庁のホームページをみていただくことにして、自分が関心のあった、財務省、経産省、金融庁、総務省について簡単に触れようと思います。

財務省のホームページは以下です。
財務省
国のお財布的な役割を担い、昔の大蔵省です。財務省の説明会には何回か参加したりして、若手の方たちはとても素晴らしい人たちが多いと感じました。ちょっと前に、高橋洋一という有名な先生が財務省(当時大蔵省)にいて、若手の人たちはこの先生をすごく高く評価されているみたいでした(上の年代は・・・・)。留学もほぼ全員させてもらえるみたいですが、やはり仕事は激務みたいです。

経産省については、昨年の夏ごろは第一志望にしていました。
経産省
自分が思い描いていた官僚の像とはかけ離れていて、すごく魅力的な仕事だと感じたからです。長期のインターンシップにも参加して、とても勉強になりました。ここは色々なことに手を出していて、BOPやら中小企業対策やら金融やら多くの仕事をやれそうだと感じました。

金融庁は、もと大蔵省で、金融機関の規制などをおこなっています。
金融庁
ここも説明会には何度か参加して、職員さんも交えたグループディスカッションなども楽しかったです。テーマは、格付け機関に対する規制など面白かったです。

総務省は、たまたま説明会でいった感じでしたが、職員さんの方たちがすごく熱かったです。
総務省
私が参加したのは、クラウドの政策に関する勉強会でしたが、なかなか面白かったです。

以上の4つが主に考えていた省庁でした。官僚は世間的にはたたかれていて、あまりいいイメージはなかったのですが、自分の目で確かめにいくと必ずしもそうではないということがわかりました。ただ、とある省庁は・・・という感じもありました。経産省のインターンで高いビルから隣の屋上をみていたのですが、お昼休みに何時間も日向ぼっこしている職員(しかもトランクス1枚で)らがいたり、テニスをしている職員がいたりで、そりゃあたたかれても仕方ないなと思いました(笑)。

ちなみに、自分は民間の就職活動に時間を入れ過ぎたということと、これから研究に力をいれていきたいということで、官僚の道は断念しました。志が大事だとは思っていましたが、必ず官僚でなければいけないというわけでもないですし、民間でも輝いて仕事をすることはできます。要は、自分の情熱や志さえあれば、どこでも頑張ることができるという考えです。

あと国1の筆記試験は、大学と大学院で勉強をがんばっていればいいみたいで、問題をみたのですがそんなに変な問題は出題されていないようでした。しっかりと対策をすれば大丈夫な感じがしました。それよりも、官庁訪問の方が大事らしく、官僚の道を目指す人は、そこらへんの対策をしっかりと対策した方がよいでしょう。(あと、採用には学歴は関係ないみたいですが、東大(院も含めて)ですと色々な人たちと接触する機会が普通の人より増えますので、できるなら東大がいいでしょう。自分が経産省のインターンシップに参加できたのも、東大の院だったからでしょう。)

数学を学んできた人向けの就職活動(他の業界)

数学を学んできた人たちの就職先は、アクチュアリーやクオンツ、教員の道だけではありません。銀行や証券、保険会社で就職した人たちもたくさんいます。自動車メーカーに就職した人たちもいますし、コンピューター関係の仕事をやっている人たちもいます。コンサルタントで働いている人たちもいます。会計士や税理士、司法書士になった人たちもいますし、国家公務員になって官僚の世界で働いている人たちもいます。もちろん、そんなに多いというわけではないですが、数学関係の研究をして、研究所で働いたり、大学の先生になった人たちもいます。

数学を学んできた人たちには多様な進路があると思います。ただ、研究の道を志すのでなければ、そんなに高度な数学は身につけなくてもいいです。ぶっちゃけ、大学の数学がほとんどできてなくても、一流企業に就職できている人たちもたくさんいます。自分はそんな光景を目の当たりにして、「大学でまじめに数学をやっているよりも、単位などは要領よく取得して、就職活動対策していた方がいい」と思ったくらいです。就職活動塾的なものや、就職サークルみたいなのもあるそうです。多少参考にはありますが、あまりそれに時間を取られていたり、お金を払ってまで就職活動対策するのはどうかと思いました。しかし、こんな時代ですから、きれいごとばかりいってはいけないので、自分も大学院1年の後期にはほとんど講義はでませんでした。これは自分だけではなく、ほどんどの大学に起きている現象で、企業側にとっても学生側にとっても大きな負担になっています。(もっといい採用方法があるのではないかと思うのですが、今のところいいアイデアはないようです。)

企業は大学の数学がどれくらいできるかなんて、ほとんどみていません。それよりも「うちの会社に貢献できるような人か」という点であったり、「一緒に働きたいと思うか」という点をみています。社会人としての基礎力といいましょうか。最低限の礼儀であったり、コミュニケーション能力であったり。ただし、採用担当者も賢者ばかりではないので、馬があわなければ、縁がないというケースもあります。採用枠もあって、運みたいなところもあるのと思うので、不採用でもあまり気にする必要はないと思います。資格試験や大学受験などと異なり、客観的に審査されているわけではありません。採用担当者は全力を尽くされていると思うのですが、同じ人間なので、主観が入ることもあります。

以上になります。

数学を学んできた人向けの就職活動(数学の教師)

数学の教師(主に中学や高校)になるためには、まず数学の教員免許を取得する必要があります。一般的には4年制大学の数学系の学部に入学して、そこで免許を取得するための科目を履修したり、教育実習などにいったりします。難しいことは何もなく、まじめにコツコツと勉強しておけばいいです。ただ、講義をたくさん受けたり、教育実習等で1か月くらい時間を取られたりするので、ちゃんと目的意識をもってないと、途中でやめたくなるかもしれません。(また、通信でも免許が取得できる大学があるみたいです。)

数学の先生になるためにはどこの大学がいいということはありませんが、大学によっては結構力を入れているところもあるので、ホームページなどを確認されるとよいと思います。そういった大学には教員になりたいという学生も多いので、色々と情報交換もできるみたいです。

数学科でなくても、他学部受講の手続きみたいなものをすれば、数学の教員免許が取得できます。さらに、大学の制度によりますが、頑張れば英語や理科や社会の科目も取ることが可能で、複数科目の教員免許を取得できる大学もあります。(ただ、本採用されやすくなるかどうかはわかりません。)

免許を取得した後は、6~8月に実施される公立学校の教員採用試験を受験するか、私立が独自で募集しているので、そこに応募して受験するかになります。

もし何も情報源がなければ、以下のサイトが役に立つと思います。
東京アカデミー
学校教職員公募

また、以下の本が参考になると思います。





本採用になるまでは塾でアルバイトをしてスキルを磨くのもいいですし、大学・大学院在学中に非常勤で働くのもいいかもしれません。実は、東京都内の偏差値55前後の私立中高一貫の非常勤講師をやる話が入ってきて、教頭先生が「本採用になれば、うちは民間の金融機関の平均年収くらいにはなるから、給与面では心配いらない」とおっしゃってました。知り合いの方で23歳で英語の非常勤をやっている方がいるのですが、その人も大学新卒の初任給より+5~6万ほど多いと聞いています。公立高校も比較的いいみたいで、退職金もかなりの額がもらえます。一流や有名高校もなかなかいいと聞きます。しかし、仕事は激務の学校もあるので、なんともいえません。給料ではなくて、子どもが好きで、子どもと一緒に成長していきたいとか、本当に教えることが好きでないと続かないと思います。

塾や予備校の先生もそんなに悪い給料ではないみたいです。どっちがいいということはないのですが、比較的自由度が大きいのは塾や予備校だと感じました。学校に勤務するとなると、かなり拘束を受けますが、安定はしているので、そこらへんの選択は価値観によるのでしょう。ちなみに、塾や予備校の先生には資格は必要ありません。実力によっては稼ぐこともできますが、ほんの一握りでしょう。先ほども申しましたように、教えることが好きでないと、なかなかやっていけないのではないかと思います。

ちなみに、教育関係の本で面白いなと思ったのが以下の本です。25歳くらいで大学に入学し、教師になった方のお話です。




以上です。

数学を学んできた人向けの就職活動(アクチュアリーとクオンツ)

最近まで就職活動をしてきたので、この記事から書いていこうと思います。

数学を学んでいる人たちにどんな職種があるのかというと、主に以下があります。

・数学の教師
・数学の研究者
・アクチュアリー
・クオンツ

おそらく、数学の教師と数学の研究者は想像がつくと思うのですが、アクチュアリーとクオンツははじめて聞いたという人もいるでしょう。今回はこの2つの職種について紹介しようと思います。簡単にいうと、アクチュアリーは保険会社で会計数字のチェックをする人たち、クオンツは高度な数学やITの技術を使って金融取引の戦略などを考える人たちです。

アクチュアリーについては、
アクチュアリー試験数学の研究
クオンツについては、
金融日記
がためになるサイトだとと思います。
(ただ、クオンツについては時代が違うので、現在とギャップがあります。)

アクチュアリー採用をしている企業は、上のサイトを参考にしてください。クオンツに関しては、金融工学コースなどとよばれることもあります。採用している有名な企業は、

MTEC
三菱東京UFJ銀行
みずほ第一フィナンシャルテクノロジー
東京海上日動
第一生命
損保ジャパン
三菱UFJ證券
野村證券
大和証券キャピタル・マーケッツ

などがあります。ベンチャー系や中小企業(必ずしも金融工学コースやクオンツ採用というわけではないですが、金融工学に関係する職種がある企業)では、

ニューメリカルテクノロジーズ
シンプレックス・テクノロジー
TGIフィナンシャルソリューションズ
クオンツリサーチ
金融エンジニアリング・グループ
センティリオン

などがあります。就職サイトなどで「クオンツ」や「金融工学」などで検索をすれば、他にもでてくるかもしれません。

外資系金融機関は詳しく調べてないのでわかりませんが、ゴールドマンサックスやBNPパリバにはクオンツをやっている人と話したことがあります。ただし、新卒でストレートに入ったという人はあまり聞いたことがありません。サブプライムショック前は、新卒でクオンツ候補を積極採用していたみたいですが、リーマンが破たんした後に、クオンツ部門をなくした金融機関もあるようです。(クオンツでなくてもいいならば、積極的に採用している外資はあります。)

ロイターの記事ですが、米ゴールドマン、クオンツファンドのGEOを閉鎖(2010年1月25日、ロイター)が参考になるかと思います。ちなみに、「ゴールドマンは、同社のクオンツ投資戦略グループのロバート・リターマン会長が1月末で退任することも明らかにした。」と記事に載っていて、リターマンはあのブラック・ショールズ式で有名なブラックと「ブラック・リターマンモデル」を開発した計量系の人です。

数学を学んできた人向けと書きましたが、数学科出身でなくても大丈夫です。文系の人でもアクチュアリーはいますし、大学の数学がわかっていない人でも大丈夫だと思います。ただ、数学に対して拒絶反応がなければいいです。必ず大学の数学をやっておく必要はありません。

ただし、アクチュアリーとクオンツ採用はかなり人数が少ないです。1社に多くて採用は10名くらい、少ないところだと1~2名という企業もあります。その枠に何千人も応募してくるので、かなり倍率は高いです。実は私も3社(2社は外資)ほどリスクヘッジの意味でアクチュアリー採用を受けていました。今年の1月ごろに受けてみようかなあと思いつきで受けて、全部最終段階くらいまで進んだのですが、その企業のことが第一志望でないみたいな生意気ないい方をしたので、全部落とされました(笑)。ちゃんと社会人の対応をしましょう。

アクチュアリー・クオンツ採用でなくても、入社後に勉強してアクチュアリーとして働いている人たちもいます。逆のパターンで、アクチュアリー採用でも、アクチュアリーの正会員になれなかった人たちもいます。社会人になってからも勉強できる人たちか、もしくは学生の頃に勉強しまくっていた人たちが受かるのかもしれません。

以上になります。

このブログについて

はじめまして、takaといいます。現在は東京大学大学院生の修士2年生で、数学関係の研究をやっています。今年の3月に内定をいただき、来年度から民間で働く予定です。

このブログは主に数学に関する話題を取り扱っていきます。ただし、あまり抽象的な難しい議論はしません。どちらかというと、一般の人たち向けにわかりやすいような内容にしていくつもりです。数学の面白い話だけではなく、数学を学んでいる人にはどんな進路があるのかとか、そんな話もしていく予定です。

今考えている項目は以下です。

・数学はどこで生きてるのか
・小学校の算数
・中学校の数学
・高校の数学
・大学の数学
・高校受験について
・大学受験について
・大学院受験について
・数学を学んできた人向けの就職活動
・数学教育全般

私が想定している読者は高校生から大学生くらいです。もちろん、中学生や小学生でも歓迎しますし、社会人の方たちも見ていただければ、とてもうれしいです。

なぜ、高校生や大学生を対象者としているのかというと、この時期が進路について一番悩む時期だと考えているからです。特に、高校や大学で学んでいることが役に立つのかとか、将来の進路がわからないと考える年頃でしょう。私自身もこの時期は悩み、学校を中退したり、フリーターをやったりしていました。

色々と悩む中で、やはり数学を学びたいという意識が高く、私は大学受験することを決意しました。数学をきちんと学びたくて大学に入り直し、大学院でも数学を応用させる研究をしています。また、民間でも数学を使う職種で、私の軸は数学であるといってもいいくらいです。

色々と勉強をして、10代のころに比べるとだいぶ視野が広がってきました。もちろん、自分の歩んできた道が絶対に正しいなどとはいいません。むしろ、学校などを中退している分、普通の人よりもちょっと変わった経歴をもっているので、かなり遠回りしてきたかもしれません。

ただ、世の中には自分みたいな人間もいて、そんな生き方もあるんだ~って思ってもらえればうれしいです。そして、高校や大学で学んでいる授業がどのように役に立つのか(もしくは、どんなことが面白いのか)ということを伝えていきたいと考えています。

リモートワークについて

また久しぶりにブログを書きます。最近はリモートワークで、通勤時間が減ったことにより、より時間が有効活用できるようになったので、また読んだ本のアウトプットをする機会をまた作っていこうと思います。 3月ごろからずっとリモートワークをやってきており、はじめは慣れない部分もあり、効率...