今回は確率解析に関する本です。私の専攻によってファイナンス系の専門書によりがちですが、ご了承願います。ここで話すレベルは大学4年~大学院1年生のレベルです。
確率解析はブラウン運動や伊藤積分、伊藤の公式、確率微分方程式について勉強します。おおざっぱにいうと、ブラウン運動は粒子などがあっちこっちに動く現象のことで、それを定義して積分しようというのが確率(伊藤)積分で、それが入った方程式を確率微分方程式いいます。伊藤の公式は、ブラウン運動が入ったときの合成関数の微分の公式(連鎖律)みたいなものです。たとえば、(色んな仮定は所与として)df(W(t))=f'(Wt)W'(t)dtなのですが、Wがブラウン運動だとこれにf"(W(t))dt/2が加わります。
この確率解析に関する本(確率微分方程式という名がついている本など)もたくさんありますが、かなり抽象的に書かれてある本がほとんどです。そういった本で挫折しそうな人は、以下の藤田先生の本がおススメです(誤値もあるので注意)。
数学科の人にとっては、確率微分方程式の解がちゃんと存在するのかということと、一意性があるのかということをチェックすることは当たり前なのですが、そんなことを全員の人が知る必要はあまりないでしょう。それを理解するのに何時間もかかるのに、
dXt=dWt+(y-Xt)dt/(T-t)
の解がブラウン橋(ある期間ではじめと終わりの位置がわかっているブラウン運動)になることを示すことができなかったり、ファイナンスで有名なオールンシュテイン・ウーレンベック過程の確率微分方程式の解を求めることができないのは・・・という感じです。(もちろん、確率微分方程式の解の存在と一意性を示すことができる人は、ちゃんとやり方さえ教わればできるので、まあ問題はないといえば問題はないとは思いますが。)。
確率微分方程式を勉強してきたけど、定義や定理にうんざりしていて、高校の時のように計算をバリバリやりたい人にとってはおススメです。
さらに洋書が読める人には以下の本をすすめます。最近みつけた本で、いい本ではないかと思います。
これもちゃんと問題の解答がついていて、丁寧に記述してあります。またぎっしり書いてなくて、読みやすく、定義や定理ばかりにうんざりしている人にはおススメです。
あと以下の本もわかりやすいです。
他は有名な本で、私も舟木先生や小川先生の本を使っていました。舟木先生の本もわかりやすいです。
小川先生の本には、確率微分方程式の数値計算なども紹介されてあります。
下の本はほとんど使っていませんでしたが、定評があるようです。ただ、数学科以外の人が使うのはちょっと大変かもしれません。
これも定番みたいです。
ファイナンスに関係する専門書は以前にも紹介したシュリーブが有名です。1番目の本はファイナンスと確率解析の入門の入門という感じです。2番目の本が本格的でしょう。練習問題の解答はないのですが、数式だけではなく、きちんと数式の意味を文章で説明してあるので、イメージしやすいです。測度論的確率論の勉強などをされている人は、1、2章はとばしてもよいでしょう。3番目の本についてなのですが、初心者にはあまりおススメしません。上に紹介した本が読めるようになったら、だいぶ理解できるようになるかと思います。
他には、(しっかりと読んだことはないのですが)池田先生と渡辺先生の確率微分方程式の本(ikeda,wadanabe:stochastic differential equations and diffusion processes)が有名で、多様体上における確率微分方程式についても載っています。マリアバン解析という無限次元の解析については以下の本がいいようです(というかこれらくらいしかありません)。
他にもあるのですが、紹介する本が多くなってきたので、以上です。
2010年8月6日金曜日
大学院受験について
今回は大学院受験(一般論)について述べようと思います。
一般的に大学院受験についていうと、大学受験ほどは勉強しなくていいと思います。やる科目といえば、専門科目と英語(TOEFLやTOEIC)くらいです。これらを一生懸命頑張ってくださいという他ありません(笑)。難易度も大学受験ほどではなく、東京大学や京都大学ともいえどもそんなに難しいことはないでしょう。大学でしっかりと勉強してきた人にとっては、それほど困難に感じることもないと思います。
ただ、研究科や専攻によっては倍率が高かったり、難易度が高いケースもあります。たとえば、京大の数理解析研究所などは難関です。また、大学院受験科目が専門科目と英語の他にもある専攻もあります。逆に、試験はなくて私立大学などは推薦でいくケースもあります。
そのまま大学で研究するもよし、ちょっと環境を変えて研究するもよし、どちらでもいいと思います。私は前の大学でもよかったのですが、学費が高かったのと、ちょっと環境を変えてみたいという気持ちがあったので、外部受験をしました。東京大学は家庭の経済状況によっては学費が安くなり、私も入学金と授業料が半額になりました。奨学金の1種(無利子の奨学金)も借りやすく、私もそれを借りて大学院で勉強できています。(また、この1種も大学院での勉強を頑張れば免除の道もあるようなので、それを申請しようかと考えています。)
内部進学か外部進学がいいかは人によると思うので、しっかりと調べてから受験されるのがよいと思います。
ちなみに大学院(修士)卒の就職状況についてなのですが、そんなに学部と変化するようなことはないと思います。いわゆる私は「学歴ロンダリング」という立場になるのですが、とくに洗浄したいなどと思ったことは全くありませんでした。特定されるのがいやなので、前の出身大学名はふせてありますが、とてもいい大学だったと思います。就職のためだけに東大院にくるのはどうかと思っていて、それほど就職に影響するようなことでもないと考えていました。
まあ本人がいいと思うのならばいいのではないかと思います。学歴ロンダリングはいいことでも悪いことでもありません。選択肢の1つとして、東大や京大の院へ行くことを考えるという程度で、そんなにおおげさなことではないかと思います。
東大などの高学歴な大学院へ入るメリットをしいてあげるとすると、東大生や京大生にビビらなくなることくらいですかね(笑)。もちろん、勉強量が半端ではなくて、すごい人たちもいるにはいるのですが、ほんの一部です。あとはいい意味で普通の大学生という感じがしました。そんなに変な人もいません。あとは、東大生専用の就職説明会に参加できることくらいで、食事ができるものがあるので、おいしいといえばおいしいです。しかし、選考段階で有利に扱ってくれるかというとそうでもないみたいで(ただ、学歴フィルターはあるようです)、面接に入ったらその人次第という感じでしょう。
今いる専攻はとても自由で、好きなように勉強させてもらっています。勉強会なども自分たちでテーマを決めてやっている人たちもいたりして、いい意味で放任主義な専攻だと思います。また同期だけではなく後輩・先輩に超優秀な方たちもいるので、かなりの刺激(時にはつぶされそうなくらい(笑))を受けています。
就職活動もかなり熱心にやる人もいて、外資系に決まった人も何人かいるようでした。私も外資系企業のインターンに参加したり、説明会に参加したりしました。しかし、ファイナンシャル・エンジニアやクオンツ系の職種の採用はほとんどなく、とっても1~2名ほどみたいだったので、エントリーしませんでした。とにかく外資がいい(給料が高い方がいい)と思っていたらエントリーしまくっていたと思いますが、給料にそれほど価値をおいていなかったので、特に外資にこだわりはありませんでした。(外資を目指しているわけではないけど時間に余裕のある方は、面接の練習だと思って受ければいいのではないかと思います。)
また就職に関して主観的な意見を述べると、「大学の勉強は単位を落とさない程度にやる」というのが賢いでしょう。研究者などを目指す人以外は、要領よく大学の勉強をやってください。もちろん私自身はそれはおかしいと思っているのですが、「企業の採用担当者がほとんど大学の成績を重視していない」ので仕方ないです。学問的な力がある・大学の成績がいいからといって、就職活動がうまくいくとも限らないみたいです。逆に、大学や大学院の成績や研究成果はぱっとしないのに、難関といわれる企業に内定をもらっている人もいました。大学の勉強に関しては、よほど何かの研究成果を上げていないと、アピールにはならないかと思います。まあ、企業も「使える人・企業に貢献できる人・利益を出せる人」をほしいと思っているので、大学の成績は関係ないとみているのでしょう。
他は、政府系の機関や官公庁に就職する人、監査法人に就職する人、また博士の道に進んで教授になりそうな人もいます。そういった意味で東京大学などの高学歴な学校は刺激を受けます。私語がうるさくて、授業中に教授が学生に対してどなることもめったにありません(笑)。
大学院受験が難しくないとはいえ、全く何もしないと多少は不安になるかもしれません。外部受験をしたい人は、先輩に話を聞いたり、ホームページなどをチェックするなどして、対策を考えるとよいでしょう。そして、大事なのは過去問をしっかりとやることです(大学院受験に限ったことではなく)。どのくらいのレベルの問題が解けるようになればいいのかがわかるので、勉強もしやすくなると思います。
ちょっと話がずれたところもありましたが、大学院受験に関しては以上です。
一般的に大学院受験についていうと、大学受験ほどは勉強しなくていいと思います。やる科目といえば、専門科目と英語(TOEFLやTOEIC)くらいです。これらを一生懸命頑張ってくださいという他ありません(笑)。難易度も大学受験ほどではなく、東京大学や京都大学ともいえどもそんなに難しいことはないでしょう。大学でしっかりと勉強してきた人にとっては、それほど困難に感じることもないと思います。
ただ、研究科や専攻によっては倍率が高かったり、難易度が高いケースもあります。たとえば、京大の数理解析研究所などは難関です。また、大学院受験科目が専門科目と英語の他にもある専攻もあります。逆に、試験はなくて私立大学などは推薦でいくケースもあります。
そのまま大学で研究するもよし、ちょっと環境を変えて研究するもよし、どちらでもいいと思います。私は前の大学でもよかったのですが、学費が高かったのと、ちょっと環境を変えてみたいという気持ちがあったので、外部受験をしました。東京大学は家庭の経済状況によっては学費が安くなり、私も入学金と授業料が半額になりました。奨学金の1種(無利子の奨学金)も借りやすく、私もそれを借りて大学院で勉強できています。(また、この1種も大学院での勉強を頑張れば免除の道もあるようなので、それを申請しようかと考えています。)
内部進学か外部進学がいいかは人によると思うので、しっかりと調べてから受験されるのがよいと思います。
ちなみに大学院(修士)卒の就職状況についてなのですが、そんなに学部と変化するようなことはないと思います。いわゆる私は「学歴ロンダリング」という立場になるのですが、とくに洗浄したいなどと思ったことは全くありませんでした。特定されるのがいやなので、前の出身大学名はふせてありますが、とてもいい大学だったと思います。就職のためだけに東大院にくるのはどうかと思っていて、それほど就職に影響するようなことでもないと考えていました。
まあ本人がいいと思うのならばいいのではないかと思います。学歴ロンダリングはいいことでも悪いことでもありません。選択肢の1つとして、東大や京大の院へ行くことを考えるという程度で、そんなにおおげさなことではないかと思います。
東大などの高学歴な大学院へ入るメリットをしいてあげるとすると、東大生や京大生にビビらなくなることくらいですかね(笑)。もちろん、勉強量が半端ではなくて、すごい人たちもいるにはいるのですが、ほんの一部です。あとはいい意味で普通の大学生という感じがしました。そんなに変な人もいません。あとは、東大生専用の就職説明会に参加できることくらいで、食事ができるものがあるので、おいしいといえばおいしいです。しかし、選考段階で有利に扱ってくれるかというとそうでもないみたいで(ただ、学歴フィルターはあるようです)、面接に入ったらその人次第という感じでしょう。
今いる専攻はとても自由で、好きなように勉強させてもらっています。勉強会なども自分たちでテーマを決めてやっている人たちもいたりして、いい意味で放任主義な専攻だと思います。また同期だけではなく後輩・先輩に超優秀な方たちもいるので、かなりの刺激(時にはつぶされそうなくらい(笑))を受けています。
就職活動もかなり熱心にやる人もいて、外資系に決まった人も何人かいるようでした。私も外資系企業のインターンに参加したり、説明会に参加したりしました。しかし、ファイナンシャル・エンジニアやクオンツ系の職種の採用はほとんどなく、とっても1~2名ほどみたいだったので、エントリーしませんでした。とにかく外資がいい(給料が高い方がいい)と思っていたらエントリーしまくっていたと思いますが、給料にそれほど価値をおいていなかったので、特に外資にこだわりはありませんでした。(外資を目指しているわけではないけど時間に余裕のある方は、面接の練習だと思って受ければいいのではないかと思います。)
また就職に関して主観的な意見を述べると、「大学の勉強は単位を落とさない程度にやる」というのが賢いでしょう。研究者などを目指す人以外は、要領よく大学の勉強をやってください。もちろん私自身はそれはおかしいと思っているのですが、「企業の採用担当者がほとんど大学の成績を重視していない」ので仕方ないです。学問的な力がある・大学の成績がいいからといって、就職活動がうまくいくとも限らないみたいです。逆に、大学や大学院の成績や研究成果はぱっとしないのに、難関といわれる企業に内定をもらっている人もいました。大学の勉強に関しては、よほど何かの研究成果を上げていないと、アピールにはならないかと思います。まあ、企業も「使える人・企業に貢献できる人・利益を出せる人」をほしいと思っているので、大学の成績は関係ないとみているのでしょう。
他は、政府系の機関や官公庁に就職する人、監査法人に就職する人、また博士の道に進んで教授になりそうな人もいます。そういった意味で東京大学などの高学歴な学校は刺激を受けます。私語がうるさくて、授業中に教授が学生に対してどなることもめったにありません(笑)。
大学院受験が難しくないとはいえ、全く何もしないと多少は不安になるかもしれません。外部受験をしたい人は、先輩に話を聞いたり、ホームページなどをチェックするなどして、対策を考えるとよいでしょう。そして、大事なのは過去問をしっかりとやることです(大学院受験に限ったことではなく)。どのくらいのレベルの問題が解けるようになればいいのかがわかるので、勉強もしやすくなると思います。
ちょっと話がずれたところもありましたが、大学院受験に関しては以上です。
大学の数学(確率論)
今回は確率論に関する専門書の紹介です。
確率論は高校までの確率論とは違って、かなり難しいと感じる人がいるかもしれません。実際に、何かの確率を求めるようなことはほとんどなく、「サイコロを振ると、どうして1が出る確率が6分の1になるか」というようなことを考えて、定理などの証明がほとんどで、文字ばかりでてきます。
それで面白くないという人もいますが、高校までにはなかった厳密性もあり、さらに確率論が色々な分野とつながっているということも学べるので、とても面白い科目だと思います。
以下はおすすめの本です。
測度論の知識がないとちょっとわかりにくいかもしれませんが、測度論を勉強する意味や確率論が他の分野とつながっているということを知るにはよい本だと思います。確率論を勉強する際に、大数の法則(サイコロを何回もふると出る目がそれぞれ6分の1に近づく)と中心極限定理(サイコロの平均に関する定理)という大事な法則と定理があり、ほとんどの専門書に載っていますが、大偏差原理(偏っているところを調べるもの)について書いていある日本の書籍はこの本くらいでしょう(あとは、最近見つけた『統計力学』と『マルコフ過程』にもちょっと載っていました。)。また、お見合いをする際に、どこで結婚を決めたらいいのかとか、モンティ・ホール問題についても厳密に議論されています。この問題の解答としては、「ドアを絶対に変更した方がよい」という人が多くいますが、上の本にも書かれある通り、前提条件によっては変更しても同じになるケースがあります(まあ、せいぜい同じ確率になるくらいなので、変更してもいいのですが、念のために。)
きちんと勉強したい人にススめたいのは、以前に紹介した『マルチンゲールによる確率論』と以下の本です。
また、計算をしっかりとしたい人にとっては以下の本がいいようです。アクチュアリーの試験を受ける人は結構やっているみたいでした。藤田先生の本はとくに、とても丁寧に計算過程が書かれてあります。
ファイナンスに関係する本として以下の本もおススメできます。
大学で確率論を勉強するとなると、抽象論で終わりがちでなかなか計算する機会がありません。上でおススメした本は厳密に定義して定理を証明する類の本ではありませんが、とりあえず計算はできるようになりたい人にとってはおススメできます。
確率論は高校までの確率論とは違って、かなり難しいと感じる人がいるかもしれません。実際に、何かの確率を求めるようなことはほとんどなく、「サイコロを振ると、どうして1が出る確率が6分の1になるか」というようなことを考えて、定理などの証明がほとんどで、文字ばかりでてきます。
それで面白くないという人もいますが、高校までにはなかった厳密性もあり、さらに確率論が色々な分野とつながっているということも学べるので、とても面白い科目だと思います。
以下はおすすめの本です。
測度論の知識がないとちょっとわかりにくいかもしれませんが、測度論を勉強する意味や確率論が他の分野とつながっているということを知るにはよい本だと思います。確率論を勉強する際に、大数の法則(サイコロを何回もふると出る目がそれぞれ6分の1に近づく)と中心極限定理(サイコロの平均に関する定理)という大事な法則と定理があり、ほとんどの専門書に載っていますが、大偏差原理(偏っているところを調べるもの)について書いていある日本の書籍はこの本くらいでしょう(あとは、最近見つけた『統計力学』と『マルコフ過程』にもちょっと載っていました。)。また、お見合いをする際に、どこで結婚を決めたらいいのかとか、モンティ・ホール問題についても厳密に議論されています。この問題の解答としては、「ドアを絶対に変更した方がよい」という人が多くいますが、上の本にも書かれある通り、前提条件によっては変更しても同じになるケースがあります(まあ、せいぜい同じ確率になるくらいなので、変更してもいいのですが、念のために。)
きちんと勉強したい人にススめたいのは、以前に紹介した『マルチンゲールによる確率論』と以下の本です。
また、計算をしっかりとしたい人にとっては以下の本がいいようです。アクチュアリーの試験を受ける人は結構やっているみたいでした。藤田先生の本はとくに、とても丁寧に計算過程が書かれてあります。
ファイナンスに関係する本として以下の本もおススメできます。
大学で確率論を勉強するとなると、抽象論で終わりがちでなかなか計算する機会がありません。上でおススメした本は厳密に定義して定理を証明する類の本ではありませんが、とりあえず計算はできるようになりたい人にとってはおススメできます。
大学の数学(代数学)
専門外なので、あまり口を出すのは怖い(笑)のですが、一応勉強してきたので、軽く紹介します。
今回は代数学の話です。高校までの数学とのつながりでいうと、2つの数の積が交換できるかどうかという問題があります。もちろん、(実数上で考えて)2×5=5×2となるのは当たり前です。これを可換といいます。しかし、これが行列の計算となると違います。一般的には、AとBを同じ次元の行列として、A×B≠B×Aです。非可換となります。また、中学生の数学でも結合法則や交換法則が書いてあり、そういったことを代数学では勉強していきます。
上の本は、大学の数学に全くついていけない人向けの本です。こういった類の本は読みやすく、1日もあれば読み終わりますが、なぜか頭にほとんど残りません。代数学に慣れるという意味で、使った方がいいかもしれません。
これは上の本よりは本格的です。この著者の方は線型代数学の演習書も出版されていて、それに大変お世話になりました。この本も結構わかりやすいと思います。
最後は松坂先生の本です。かなりがっちり書いてありますが、私は辞書的に使ったくらいでした。
すごく簡単な紹介で、ほとんど参考にならなかったかもしれませんが、紹介する本は以上です。ちなみに、代数学は何の役に立つのかという感じもしますが、ちゃんと論理を追うことができるようになると、パズルみたいで面白いと思います。さらに、代数学は役に立たないどころか、インターネットの暗号技術の基礎的な理論の支えになっていたりするので、かなり重要な科目だと思います。
上の本以外にも暗号に関する本はたくさんあります。実は、数理ファイナンスや確率論を専攻する前(大学入学前)には、暗号理論に関する研究をしたいと思って、大学で暗号理論に関する講義を受けたり、専門書などもちょこちょこ読んでいました。量子暗号理論というよくわからない未知の世界にも魅了されて、物理学の道に変更しようなどとも考えたり、企業でもこうったことを研究しているということを知って、その企業のことを調べたりもしていました。しかし、ここではトピックがちょっとずれるので、時間があるときにでも(もっと勉強して)、紹介しようと思います。
今回は代数学の話です。高校までの数学とのつながりでいうと、2つの数の積が交換できるかどうかという問題があります。もちろん、(実数上で考えて)2×5=5×2となるのは当たり前です。これを可換といいます。しかし、これが行列の計算となると違います。一般的には、AとBを同じ次元の行列として、A×B≠B×Aです。非可換となります。また、中学生の数学でも結合法則や交換法則が書いてあり、そういったことを代数学では勉強していきます。
上の本は、大学の数学に全くついていけない人向けの本です。こういった類の本は読みやすく、1日もあれば読み終わりますが、なぜか頭にほとんど残りません。代数学に慣れるという意味で、使った方がいいかもしれません。
これは上の本よりは本格的です。この著者の方は線型代数学の演習書も出版されていて、それに大変お世話になりました。この本も結構わかりやすいと思います。
最後は松坂先生の本です。かなりがっちり書いてありますが、私は辞書的に使ったくらいでした。
すごく簡単な紹介で、ほとんど参考にならなかったかもしれませんが、紹介する本は以上です。ちなみに、代数学は何の役に立つのかという感じもしますが、ちゃんと論理を追うことができるようになると、パズルみたいで面白いと思います。さらに、代数学は役に立たないどころか、インターネットの暗号技術の基礎的な理論の支えになっていたりするので、かなり重要な科目だと思います。
上の本以外にも暗号に関する本はたくさんあります。実は、数理ファイナンスや確率論を専攻する前(大学入学前)には、暗号理論に関する研究をしたいと思って、大学で暗号理論に関する講義を受けたり、専門書などもちょこちょこ読んでいました。量子暗号理論というよくわからない未知の世界にも魅了されて、物理学の道に変更しようなどとも考えたり、企業でもこうったことを研究しているということを知って、その企業のことを調べたりもしていました。しかし、ここではトピックがちょっとずれるので、時間があるときにでも(もっと勉強して)、紹介しようと思います。
2010年8月5日木曜日
大学の数学(ルベーグ積分論、関数解析)
大学3年生くらいになると、それぞれ専門分野(代数、幾何、解析など)に進みます。私は確率系の科目が専門でしたので、主に確率論に関心がある方向けにおおざっぱに説明します。
大学2年までに微分積分学や線型代数の基礎的な部分、集合・位相などを学んだ後は、ルベーグ積分論(測度論)というのを学びます。これはなかなか難しい科目で、私がはじめに出会ったころ意味があんまりわかりませんでした。しかし、この科目を担当されていた先生の講義で面白いと感じることもあり、また先生のレジュメを何度も読み返したり、確率論を学んでいるときに振り返って復習したりしているうちに、だんだんとその考え方に慣れてきました。私のような凡人には一回で理解することはできませんでしたが、いつか理解できる時がくると信じて、勉強していました。
私が教わった大学の先生のレジュメをアップすることはできませんが、この分野に関しておすすめできる専門書をいくつか紹介したいと思います。
厳密さを失うことなく、丁寧に書いてあります。しかも、練習問題は解答付きで自習に向くでしょう。しかし、誤値がたくさんある(といっても、明らかにわかるものばかり)ので、しっかりと読み進めるとよいと思います。
確率論を専攻している人ならば、聞いたことはない人がいない(?)というくらいに有名な本です。定評があります。この本のはじめの章は飛ばす人が多いようです。
これは分厚い本ですが、結構初歩的なところから説明してあります。私は一番上の本などを読んでいたので、この本は立ち読みしたくらいでしたが、みた感じ結構いいのではないかと思い、紹介しました。
最近はルベーグに関するわかりやすい本も出てきていますし、復刊も多くでています。上の本がいいとはいっても、あうあわないはあると思うので、書店で読んだり、アマゾンの検索を使って、使いやすそうな本が一番いいでしょう。
あと重要な科目は関数解析です。いいといわれる専門書はあるのですが、私があまり関数解析学になじんでいないせいか、初学習者にとっていい本というのがわかりません。一応、参考までに使っていた本は下の本です。
ぱっと見ですが、以下の本もよさそうでした。
大学3年生で学ぶべき科目は他にもたくさんあります。代数学や多様体、微分方程式などあり、確率論も大学3年生で学びます。代数学や多様体などは専門外なので、あまり参考にならないかもしれませんが、1~2冊くらい私が使っていたものを紹介します。微分方程式や確率論は結構勉強していたので、これは5冊くらい紹介できます。今回は長くなったので、次回以降にまわします。
大学2年までに微分積分学や線型代数の基礎的な部分、集合・位相などを学んだ後は、ルベーグ積分論(測度論)というのを学びます。これはなかなか難しい科目で、私がはじめに出会ったころ意味があんまりわかりませんでした。しかし、この科目を担当されていた先生の講義で面白いと感じることもあり、また先生のレジュメを何度も読み返したり、確率論を学んでいるときに振り返って復習したりしているうちに、だんだんとその考え方に慣れてきました。私のような凡人には一回で理解することはできませんでしたが、いつか理解できる時がくると信じて、勉強していました。
私が教わった大学の先生のレジュメをアップすることはできませんが、この分野に関しておすすめできる専門書をいくつか紹介したいと思います。
厳密さを失うことなく、丁寧に書いてあります。しかも、練習問題は解答付きで自習に向くでしょう。しかし、誤値がたくさんある(といっても、明らかにわかるものばかり)ので、しっかりと読み進めるとよいと思います。
確率論を専攻している人ならば、聞いたことはない人がいない(?)というくらいに有名な本です。定評があります。この本のはじめの章は飛ばす人が多いようです。
これは分厚い本ですが、結構初歩的なところから説明してあります。私は一番上の本などを読んでいたので、この本は立ち読みしたくらいでしたが、みた感じ結構いいのではないかと思い、紹介しました。
最近はルベーグに関するわかりやすい本も出てきていますし、復刊も多くでています。上の本がいいとはいっても、あうあわないはあると思うので、書店で読んだり、アマゾンの検索を使って、使いやすそうな本が一番いいでしょう。
あと重要な科目は関数解析です。いいといわれる専門書はあるのですが、私があまり関数解析学になじんでいないせいか、初学習者にとっていい本というのがわかりません。一応、参考までに使っていた本は下の本です。
ぱっと見ですが、以下の本もよさそうでした。
大学3年生で学ぶべき科目は他にもたくさんあります。代数学や多様体、微分方程式などあり、確率論も大学3年生で学びます。代数学や多様体などは専門外なので、あまり参考にならないかもしれませんが、1~2冊くらい私が使っていたものを紹介します。微分方程式や確率論は結構勉強していたので、これは5冊くらい紹介できます。今回は長くなったので、次回以降にまわします。
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リモートワークについて
また久しぶりにブログを書きます。最近はリモートワークで、通勤時間が減ったことにより、より時間が有効活用できるようになったので、また読んだ本のアウトプットをする機会をまた作っていこうと思います。 3月ごろからずっとリモートワークをやってきており、はじめは慣れない部分もあり、効率...

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